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劇団サンプル

「家族の肖像」2008年 青木司
松井 周(劇作家・演出家・俳優)の主宰する劇団。
その作品世界は、価値を反転させることと空間・身体・時間の可能性を探り続けることを特徴としており、虚無的で独特の質感は、中毒性の高いことで知られている。

松井周はフェスティバル/トーキョー09に春・秋連続で参加。
戯曲においては、『地下室』がイタリア語、『シフト』『カロリーの消費』がフランス語に翻訳される。
また、2010年春にはニューヨークタイムズで「日本における最も重要な演
出家の一人」と紹介されるなど幅広い活躍を見せている。
2010年秋には蜷川幸雄演出のゴールド・シアターに戯曲を提供し、本作品と合わせて、新作が2作同時上演されることとなる。

『通過』(第9回日本劇作家協会新人戯曲賞入賞)
『ワールドプレミア』(第11回同賞入賞)
『家族の肖像』(2008年岸田國士戯曲賞最終ノミネート)
『あの人の世界』(2009年同賞最終ノミネート)

 


 

<サンプルの由来>
私はユニットの名前を「サンプル」としました。これには大きく二つの意味があります。
一つは「紛い物」という意味です。これは、一旦人間を、人間性や感情や内面から引き離してみようという試みです。
人間を動物のように観察するということと同じかもしれません。 しかし、そうは言っても人間は言語を使用するし、そこで消費されるエネルギーもばかになりません。 ですから、その言語活動も人間の「言い訳」のように捉えながら、物語を描いていきたいと思います。
もう一つは、「試作品」という意味です。サンプルは「紛い物を創る」ための仮説を立てて、日々実験・実践していく場としてのユニットだと考えています。作品を窮屈なわかりやすい形に閉じこめるのではなく、柔軟に変化していくことを理想として「試作品」=サンプルと名付けたいと思いました。

<私がサンプルでやりたいこと>
人間を疑うこと、これが出発点でした。
人間には統一された「自我」などなく、あるとしてもそれは多様でころころ変わるような一時的なものではないかという疑いです。
言語活動を行う「自我」のない動物として人間を捉えたいと考えて作品を作ろうと思いました。
つまり、私たち人間は能動的に何かを選択し、行動しているわけではなく、受動的に何かを選択させられて、動かされているという状態を演技の基本として作品を作るのです。俳優と同じ空間にある全ての物(テーブル、イス、人間、エアコン、棚、観客等)が俳優を誘惑します。また、俳優の外側だけでなく、俳優自身の記憶に誘惑されることもあるでしょう。
私は受動的で信用ならない人間を肯定するために作品を作っています。

松井周