私はこれから新しく始めるユニットの名前を「サンプル」としました。これには大きく二つの意味があります。
一つは「紛い物」という意味です。これは、一旦人間を、人間性や感情や内面から引き離してみようという試みです。人間を動物のように観察するということと同じかもしれません。しかし、そうは言っても人間は言語を使用するし、そこで消費されるエネルギーもばかになりません。ですから、その言語活動も人間の「言い訳」のように捉えながら、物語を描いていきたいと思います。
もう一つは、「試作品」という意味です。サンプルは「紛い物を創る」ための仮説を立てて、日々実験・実践していく場としてのユニットだと考えています。作品を窮屈なわかりやすい形に閉じこめるのではなく、柔軟に変化していくことを理想として「試作品」=サンプルと名付けたいと思いました。

 


 松井 周 (劇作家・演出家・俳優)  

  1996年、俳優として劇団青年団に入団。 

処女作『通過』が未上演にして第9回日本劇作家協会新人戯曲賞入賞 。
環境に支配されていく人間の不確かさを大胆な舞台展開で上演。(2004年5月)

続いて二作目『ワールドプレミア』で第11回日本劇作家協会新人戯曲賞入賞。
人間の記憶の曖昧さ、その記憶の蓄積で形成される個の危うさを緻密な物語構成で描いた。(2005年6月)

文学座+青年団自主企画交流シリーズ第一弾「地下室」(2006年5月)。
自然食品店がカルト化していく様をリアリズムの手法で上演。

青年団リンク・サンプル第一弾「シフト」(2007年1月)。郊外型スーパーと犬のブリーディングを彷彿とさせる「伝統」の焼き直しに翻弄される村の閉塞的状況をアンチヒューマンな視点で描いた。